B型肝炎のポイント
定期接種:不活化ワクチン(3回)2018年
B型肝炎ウイルスが肝臓に感染して起きるウイルス感染症
劇症化(炎症が急激に悪化)した場合は致死率7割
慢性化した場合は肝硬変や肝臓がんになる
飛沫感染、空気感染(飛沫核感染)しない
【感染ルート】
- 体液(唾液・汗など)
- 血液(輸血や血液・体液のついた注射器・医療機器)
- 性行為が原因の感染
- 母親がB型肝炎に感染していることで妊娠している胎児に感染してしまう母子感染(垂直感染)

ワクチンについて
『ビームゲン』★ | 添付文書 | ワクチン接種を受ける人へのガイド |
『ヘプタバックスⅡ』 | 添付文書 | ワクチン接種を受ける人へのガイド |
※「ワクチン接種を受ける人へのガイド」は添付文書を一般向けに簡略化したものです
★定期・任意接種補助対象

日本国内は「ビームゲン」
海外へ行く場合には「ヘプタバックスⅡ」
しかし、ビームゲンだけでは日本でも流行る遺伝子型Bのウイルスをカバーしていない
2016年10月以前までは、母子感染を防ぐ目的で生まれてすぐの赤ちゃんは義務接種で、母親がB型肝炎の感染歴がなければ不要でした
ワクチン防御期間:20年以上 ※The Immunisation Advisory Centreより和訳引用
(セロコンバージョンした人の生涯の可能性、現在までに20年以上が観察されている)
セロコンバージョンとは
ワクチン防御期間で出てきました「セロコンバージョンした人の生涯の可能性」のセロコンバージョンの意味ですが、簡易的な図に表しながら説明いたします。

セロコンバージョンは、体の中にB型肝炎ウイルスが検査で計測できない程度に体の中に存在しているけれども、抗体の数が勝っているような状態
例え、B型肝炎が少し悪化するようなことが起きたとしても、対処できるだけの余裕があるような状態ともいえます
これがワクチン防御期間として20年続くと書かれています

もしも、セロコンバージョンが保てなくなる、または十分に抗体が得られない場合には上の図のようにB型肝炎ウイルスの数が抗体の数よりも勝ってしまうため、肝炎の症状が出る可能性があります
数年前の赤ちゃんへのワクチンの目的は、このB型肝炎ウイルスがいるけれども「無症候性」症状が現れないようにワクチンで抗体を準備してセロコンバージョンへもっていきましょう。これをお母さんがB型肝炎ウイルスがいる場合には、生まれてすぐに打ちましょうとなっていました。
近年では、B型肝炎ウイルスのワクチンは定期接種へと変わりました。つまり「お母さんが感染していようが、いまいが関係なく皆が打ちましょう」に変わったのです。
しかし、医療従事者になってからB型肝炎ワクチンを打った経験談の中には
「3回打っても抗体ができなかった」
「5年もしないで抗体検査で基準値以下になっていた」
という話を聞くようになりました
これの理由を考察しますと

B型肝炎ウイルスがいないのに抗体が出来上がり、そのまま数カ月~数年たつことになります。B型肝炎ウイルスは、飛沫感染・空気感染しませんので、日常的にさらされる危険が特殊なことがない限り起きないのです。次第に不必要な抗体の数は減っていきます。
赤ちゃんでも同じようなことが起きると考えられるため「打てば皆が20年抗体があるわけではない」こと「B型肝炎ウイルスに感染している人が、セロコンバージョンの状態を20年保てる」可能性があることを示した期間にすぎないと考えられます。
近年、問題視されていること
そんな中でも平成14年4月に佐賀県保育所におけるB型肝炎集団発生する事件が起きました
以下は報告書の原因究明の引用文
(1)集団感染の疑いを確認
○ ①佐賀市、佐賀郡内の症例検索、②保育所関係者のスクリーニング検査、③感染源検査、④感染経路調査等を行った結果、合計25名の者(園児19名、職員6名)が当該保育所内でB型肝炎に感染した疑いがあることが明らかとなった。
(2)感染源
○ 感染源は、HBVキャリアである元職員から検出されたウイルスの塩基配列が他のウイルス陽性者9名と一致していることと疫学調査の結果から、元職員がもともとの感染源であると推定されたが、元職員がすべての感染者の感染源になっているとは言えず、個々の感染源を特定するには至らなかった。
(3)感染経路
○ 感染経路については、疫学的には①HBVキャリアの元職員から園児への感染、②園児間の感染、③園児から職員への感染、④兄弟間、4つの可能性が考えられ、現場の状況調査や保育士等からの聞き取り調査等から、感染につながりえることを否定できない様々なエピソードが確認され、感染様式に血液や滲出液を伴う皮膚疾患の一定の関与が疑われたが、特定するには至らなかった。
(4)感染リスクの分析結果
○ 再発防止策を検討するために、感染リスクを分析した結果、①皮膚疾患を有する場合や②年少児の保育は相対的に感染リスクが高いと推定された。
この事件をきっかけもあって10年近く年月を経て定期接種となった可能性を否定できません。
大人でも何気ない飲み物の回し飲みや、とりわけないで食事をしていることが多いと思われます。赤ちゃんの場合には、あらゆるものを口に入れてしまうこと、他の赤ちゃんが舐めたものを再び舐め廻したり、垂れたよだれが付着したままだったりが原因となることもあり得るかもしれません。
まとめ
B型肝炎ウイルスは、特殊な感染症と言えなくなっているかもしれない現状も踏まえてお伝えしました。ワクチン接種を安全に行う検討する際に参考にしていただければ幸いです。
他のワクチンに関係する内容はこちらの一覧へ

ちょっとした相談やお悩み事がある方はLINE@で直接やり取りできます


「薬屋さんの読めるようになる化粧品リスト」ダウンロードできます
メルマガ配信は、毎日21時から30日間配信していきます。

コメントを残す