腸内細菌の基礎と腸内細菌を健康に活かす時に知っていてほしいこと

腸内環境の人種差

Den- mark (DK), Spain (ES), the USA (US), China (CN), Sweden (SE), Russia (RU), Venezuela (VE), Malawi (MW), Austria (AT), France (FR), and Peru (PE)
※The gut microbiome of healthy Japanese and its microbial and functional uniqueness

これは腸内細菌の人種ごとのパターンを分布図で表したものです。

日本は、赤い点の分布のパターンを取ります。アメリカ・中国は似たような腸内細菌パターンをしており、他にもフランス・スウェーデン/スペイン・デンマーク/マラウイ・ベネチア・ペルーが似た腸内細菌パターンを取ることがわかります。

このように人種の差によって腸内細菌のパターンが違います。ということは、これからあらゆる研究データや有用な菌、有害な菌についての情報が出てきた時に、日本人のデータであるかどうかをしっかりと見極める必要があります。

他の外国で良いというデータがあっても、日本人に当てはまらないことが今後たくさん出てきますし、こちらのブログでも少しずつご紹介いたします。

※Diversity in gut bacterial community of school-age children in Asia

こちらは日本近辺のアジア地域の子供達の腸内細菌の種類についてのデータになりますが、アジアの間でも腸内細菌の種類は同じような傾向があってもその細菌の数に違いがあります。

特に、プレボテラ菌というものが存在しますが、右の棒グラフのようなものの一番下の段がプレボテラ菌の人種による数を示しています。

日本の東京や福岡では棒グラフの色が見えないくらいしかいないのに対して、右から数えた1〜3番目までのバリ、ジャカルタ、コーンケン(タイ)では棒がかなり上の方から伸びているのがわかります。

これも後々のご紹介しますが、プレボテラ菌という菌がいると肥満・糖尿病になりにくいというデータがあります。

バリ、ジャカルタ、コーンケン(タイ)に住む人たちは、プレボテラ菌を多く持っている。

しかし、日本人は他のアジアに住む人々よりも腸内に住んでいないことで「プレボテラ菌がいると肥満・糖尿病になりにくい」というデータが私たちに生かせるものなのかを判断しないといけないということです。

そのためには、これから多くの有用な菌についてお伝えしながらご自身の腸内細菌の構成を知らないと、いくら有用な菌を増やす方法をお伝えしても、もともと住んでいる数が少なければ効果が出ることはないのです。

この考えをあらかじめ持っていただきながら、腸内細菌の基礎的な話からはじめて来ましょう。

腸内細菌の基礎

私たちの腸内には、重さにして約1〜2kg、少なくとも1000種類およそ100兆個というすさまじい数の微生物が生息しています。これらの微生物群が共存している生態系を、「腸内細菌叢」と言い、「腸内フローラ」という呼び方でも広く知られています。

近年の新しい研究技術の発展により、遺伝情報が一人一人異なるように、腸内細菌叢の組成も個人ごとに異なることがわかってきました。私たちの細胞(宿主細胞)と腸内細菌、食事のバランスが三位一体となって関係していると考えられるようになりました。

※Journal of Japanese Biochemical Society 88(1): 61-70 (2016)
doi:10.14952/SEIKAGAKU.2016.880061

他にも「腸内環境のエコシステム」と呼ばれる宿主細胞と腸内細菌が密に相互作用することで、私たちの免疫細胞・内分泌細胞・神経細胞からなる「ホメオスタシス」も関係しております。もう腸内環境を気にしないで健康は語れないくらいに大切な要素となってきています。

同時に、腸内細菌叢が肥満や糖尿病、がん、アレルギーや皮膚疾患、自閉症やうつなどの精神疾患や脳の機能など、さまざまな疾患や健康に影響することも示されています。つまり、腸内細菌叢のバランスを整えることが健康の維持のために非常に重要であることが分かってきたのです。そして腸内細菌叢のバランスに影響する因子として、食事、抗生物質の乱用、ストレスや睡眠などが考えられています。

赤ちゃんの腸内細菌の変化

お母さんの胎内にいる間は、赤ちゃんは無菌状態です。そして出産時に産道を通ることで、お母さんの菌を受け継ぐといわれています。赤ちゃんは生まれると呼吸を始めますが、そのときにお母さんの菌だけでなく、医療機関に棲みついている菌、医師や看護師さんたちの菌も体内に取り入れます。また、赤ちゃんは母乳を飲み始めるとお母さんからIgA抗体を受け継ぎ、体内を細菌やウイルスの感染から守ります。母乳を飲んでいる赤ちゃんの腸内細菌の約90%がビフィズス菌といわれています。母乳に含まれるオリゴ糖(ヒト免疫オリゴ糖)が餌となって、ビフィズス菌が増えているのです。このため、生後半年以上は母乳で育てるのがいいといわれています。

このようにして、生後1年までには赤ちゃんの腸内環境が整ってきますが、ビフィズス菌が増えるのと同時に悪玉菌や日和見菌を取り入れることで、免疫が獲得できるようになります。最近では医師が「赤ちゃんとスキンシップしなさい」と指導することが増えているといわれています。授乳だけでなく「おんぶ」や「だっこ」などの触れあいによって、免疫機能が受け継がれていくと考えられるからです。

クロアチアのメルクール大学のグループの研究によると、帝王切開で生まれた赤ちゃんは、お母さんの産道や直腸に存在する善玉菌を受け継ぐことができないと報告されています。それどころか、赤ちゃんの免疫が十分に獲得できない悪玉菌が受け継がれやすいとい言われています。帝王切開で生まれた赤ちゃんの腸内フローラはビフィズス菌が少ないため、糖尿病患者の腸内フローラに近い状態であるとも指摘されています。
※ Kulas T et al. Med Arch. 2013 Dec;67:460-3.

生菌と死菌の違いとは

私たちの多くを占める乳酸菌・ビフィズス菌含めた善玉菌は、私たちの腸内環境を良い状態にしてくれます。例えば、乳酸菌を含む飲料やサプリメントなど、口から摂取した乳酸菌は、体の中に入っていくと、それぞれの働きを持つ2つの菌に分かれます。1つめは、生きたまま腸に届く菌(生菌)、そして2つめは胃酸や胆汁などによって死滅する菌(死菌)です。

私たちの腸内において、有用菌の増加に伴って有機酸の産生量が増えていくと、生菌は腸内を酸性化させるようpH値を低下するために働き始めます。この生きた乳酸菌は、悪玉菌のエネルギー源であるタンパク質などを取ったり、腸管粘膜上皮に定着することによって、悪玉菌自体の増殖の場を減少したりしてくれます。つまり生きた乳酸菌は、腸内細菌のバランスを正常化するために存在しています。

死滅した乳酸菌のことを死菌といいます。多量の死菌は、たとえ腸管内であっても、他の細菌に悪影響を及ぼしません。途中で死滅した乳酸菌は、食物繊維と同じような働きをします。生きた乳酸菌によって活性化した善玉菌が退治してくれた悪玉菌を吸着し、外へ排出する役割をしているのです。

他にも死滅した善玉菌は、加熱することによって乾燥菌体にすることができます。乾燥菌体は、胃酸や胆汁、さらには熱の影響を受けることなく腸にたどり着けるという特性を持っています。乳酸菌のエサになると同時に、免疫力を向上させることにも大きく役立っております。そのため「生きた菌じゃないと意味がないんでしょ?」と思っている人が多いかもしれませんが、生菌であっても、死菌であっても腸内環境には良い効果を得られることを知っていただきながら継続が何よりも大切になります。

善玉菌 悪玉菌  

l  免疫と関連性がありと言われる「酪酸生産菌」

l  女性ホルモンににた働きをする物質「エクオールの生産菌」

l  やせている人の多くが持っている「クリステンセネラ・ミヌタ」

l  肥満や糖尿病になりにくい働きがあると言われている「アッカーマンシア・ムシニフィラ」

l  腸内フローラからみた肥満タイプ(ファーミキューテス門とバクテロイデス門の比)

菌の種類 乳酸菌(ビフィズス菌)

コプロコッカス

ルミノコッカス

大腸菌

ブドウ球菌

ビブリオ菌

ウェルシェ菌

パクテロイデス

ETBF菌

効果 免疫力を高める

消化吸収を助ける

ビタミンの合成

腸管運動の促進

がんのリスクを下げる

腸内腐敗

毒素の発生

発がん性物質の生産

糞便、ガスの形成

がんのリスクを高める

栄養源 糖質 タンパク質

そして、腸内環境をよくすることは「腸内細菌の質を維持する」ことです。腸内環境の劣化を回復させることは研究者によって意見が分かれるようですが、基本的には若返ることは起きません。いかに劣化を遅くしていくか、悪玉菌が増える傾向をいかに抑えていくかが腸を健康に保ちアンチエイジングにも役立てる秘訣と思われます。

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