腸内細菌検査で注目されている私たちの健康指標になる細菌たち

アッカーマンシア・ムシニフィラ

胃や腸などの消化管の粘膜表面は粘性物質に覆われ、細菌の侵入などから保護されています。2004年、オランダのムリエル・デリエンは、この粘性物質を単一の栄養源として生育できる細菌を、健康なヒトの糞便から分離しました。それがアッカーマンシア・ムシニフィラです。

アッカーマンシア・ムシニフィラは、生後まもない乳児の糞便中に検出されます。その後、6か月齢では約7割の乳児が保菌するようになり、1歳では保菌率が成人と同レベルの9割に達します。アッカーマンシア・ムシニフィラは成人の腸内細菌の総数の1~4%を占め、腸内に大量に棲息する菌の一種に位置づけられます。

体重、肥満度指数(BMI)、血中コレステロール値、空腹時血糖値が高いヒトでは、正常なヒトに比べて、腸内のアッカーマンシア・ムシニフィラが少ないとされています。また、過体重や肥満のヒトがカロリー制限の食事療法に取り組んだとき、腸内のアッカーマンシア・ムシニフィラが元々多いヒトほどインスリン抵抗性の改善効果が顕著にあらわれるとの報告もあり、肥満や糖尿病との関連性が指摘されています。

女性ホルモンに関係する「エクオール生産菌」

 

大豆に含まれている「イソフラボン」は、その構造が女性ホルモンの「エストロゲン」に似ていることから、女性ホルモン様作用をもっており、更年期症状の緩和や骨密度の維持に対する効果が知られてきました。体内に入ったイソフラボンは「ダイゼイン」という成分の形の状態から、「エクオール」という物質に変換することで女性ホルモンに構造が似ているため、体内で女性ホルモンと似た働きをします。女性ホルモンが減少していく更年期からは女性のとても心強い物質です。

しかし、エクオールをつくれるのは日本人のおよそ43%。若い女性だと20~30%と更に少なくなってきています。イソフラボンを摂っても効果が出やすい人と出にくい人の違いは、ヒトの大腸に住んでいる大豆イソフラボン(ダイゼイン)をエクオールに変換してくれる「エクオール産生菌」と呼ばれる腸内細菌がいるかどうかが重要だということが分かりました。 エクオール産生菌はこれまで10種類ほど見つかっています。まだ未知なる細菌であるため研究が続けられています。

また、日本では近年2人に1人がエクオールをつくれておりましたが、年齢が若くなるにつれてエクオール産生率は低下しています。10代20代の若い世代では欧米人と同じくらいの人しかエクオールをつくれていないという研究が報告されております。その理由の1つとして食の欧米化によって大豆の消費量が減ったことが考えられております。エクオール産生菌を維持するためにも、毎日の食事に大豆を取り入れることが必要です。

血糖値の変化に関係する細菌「プレボテラ・コプリ」

プレボテラ・コプリは、大麦による食後の耐糖能改善効果(セカンドミール効果)に関わっていると言われています。一方で、インスリン抵抗性を誘導することも知られており、2型糖尿病との関わりがあるのではないかと考えられています。また、関節リウマチ患者の一部では、腸内にプレボテラ コプリが多く存在することが分かっています。関節炎の発症に関わっている可能性があると言われており、現在も研究が進められています。

肥満に関係する細菌(ファーミキューテス門/バクテロイデス門の比)

成人の腸内細菌は「バクテロイデス門」と「ファーミキューテス門」の二つの種類が優勢となっています。バクテロイデス門は、善玉菌を好む日和見菌、ファーミキューテス門は発酵食品に含まれている菌や皮膚に常在している菌、土壌菌などです。

腸内細菌は食べ物を分解するときにさまざまな物質を排出します。バクテロイデス門の細菌が食べ物を分解すると排出される短鎖脂肪酸は、腸から吸収されて血液を通じて全身に届けられます。この短鎖脂肪酸が脂肪細胞に働きかけると脂肪の取り込みが止まり、肥満を防いでくれるのです。逆にファーミキューテス門の細菌は食事から取り込むエネルギー量が多く、そのため肥満に結びつきやすいといわれています。

一般的には、「バクテロイデス門」が痩せ菌、「ファーミキューテス門」がデブ菌と言われております。ファーミキューテス門の細菌には、発酵食品に利用されている納豆菌だけでなく、虫歯の原因として知られているミュータンス菌など様々な細菌が存在しています。他にも、ラクトバシラスと呼ばれるバランス調整菌としてプロバイオティクスに使用されている乳酸菌の一種も含まれています。

また、日本人の腸内細菌は「ファーミキューテス門」が一番大く存在し、次に「バクテロイデス門」と言われています。そのため、「ファーミキューテス門」=デブ菌、太るという考え方は間違いと思われます。これから先の細菌の詳細な分析結果を待つしかありません。

以下はこの検査の有用性に関係する論文のデータとなります

肥満の人と健康な人の腸内フローラでは大きな違いとして、肥満の人ではフィルミクテス門の細菌が多く、バクテロイデス門の細菌が少ないことが明らかにされた研究があります。
※ Turnbaugh, P.J et al. Nature. 444:1027-1031(21 December 2006)

複数の標準体型の人と肥満の人に標準カロリーの食事を3日間食べさせた後、高カロリーの食事を3日間食べさせ、それぞれの期間の排泄物に含まれたエネルギー量と腸内細菌を検査した実験も行われています。肥満の人は標準カロリー食でも高カロリー食でもエネルギー量に変化はありませんでしたが、標準体型の人が高カロリー食を摂取するとエネルギー量は減少するという結果が出ました。また、高カロリー食を摂取すると、フィルミクテス門の細菌が増加し、バクテロイデス門の細菌が減少したのです。
※Am J Clin Nutr. 2011 Jul;94(1):58-65

この二つの研究結果から、腸内フローラによって太りやすいかどうかが分かれてしまうのと同時に、太ることで腸内フローラも悪化すると考えられます。

 

肥満を抑える夢のプロバイオティクス「クリステンセネラ・ミヌタ」

さまざまなヒトの腸内フローラを比較した結果、 Christensenellaceae 科の細菌はBMIの低い人の腸内に多いことがわかりました。更に、肥満促進マウスにクリステンセネラ・ミヌタを定着させると、体重増加が抑制されることも分かりました。詳しい仕組みはまだわかりませんが、クリステンセネラ・ミヌタは、肥満を抑える夢のプロバイオティクスとなる可能性を秘めています。

免疫制御に関係する細菌「糖化菌」

善玉菌の種類のうち、納豆菌・酵母菌・麹菌は「糖化菌」と呼ばれおり、 糖質をエネルギー源に変える作用を持っている細菌群の俗称です。糖化菌は、胃酸の強い酸性、アルカリ性、タンパク質の変性や熱の影響を受けることなく、安定した状態で腸まで届くことで知られています。

納豆菌

 

納豆菌は、糖質やタンパク質を分解して消化を助け、腐敗便をなくすと言われています。腸内細菌が産生する酸の刺激は、腸の蠕動運動を活発にして、消化活動を促進させてくれるのです。そのためには、腸内において有益とされる乳酸菌・ビフィズス菌を増やすのに、納豆菌は関係してきます。納豆菌をたくさん摂る人と摂らない人を比較すると、乳酸菌の量が10倍も違うことがわかっています。
酵母菌

 

酵母菌は発酵するときに、脂質・糖分を分解することで、アミノ酸やクエン酸、有機酸、アルコール、炭酸ガスなど、人間に有益な成分を生成する役割があります。酵母菌には、脂質を分解する働きがあるので、ダイエット効果も期待されています。また、腸内において善玉菌を活性化させる作用や、老化の原因となる活性酸素を抑える作用が認められています。さらに免疫力の活性化等、機能面においても注目されているので、発酵食品に多く使われているのです。
麹菌

 

一般的に麹菌は、菌の体内で作ったタンパク質を、菌の体外へと分泌・産生する機能に優れていると考えられています。滅菌した穀物の表面に、麹菌の胞子を植え付けて固体培養することによって、多種多様の酵素タンパク質を生み出すことができます。この酵素タンパク質は培養中に、培地の穀物成分も分解してくれるので、日本の多くの食品には麹菌が使われおり、現在でも日々新しい物を作り出しているのです。

 

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