腸と腎臓もつながっている!腎臓病予防には腸内細菌に注目しよう!

慢性腎臓病(CKD)を引き起こす尿毒素

慢性便秘症治療薬は、腎不全マウスにおける腸内環境および腸内細菌叢を変化させることで、血中のインドキシル硫酸トリメチルアミン N オキシドなどの尿毒症物質を減少させ、また腎臓内の線維化、炎症を軽減し腎機能障害の進行を抑制します。一方、無菌マウスでは確かに腎不全時に起こる尿毒症物質の蓄積は抑制されるが、腎機能も良くないことから、腸内細菌叢内のバランスが腎機能保護には重要と考えられるようになりました。

腸内細菌叢のバランスがCKDの進展に影響

慢性腎臓病の病態では、腸内細菌叢の変化など、腸内環境と腎臓が相互に影響を及ぼしあう「腸腎連関」があることが知られていますが、腸内細菌叢がどのように関わっているか不明な点が多いです。
腎機能が低下すると、本来尿から排泄すべきさまざまな物質が体内に蓄積する。このうち生体に悪影響を与えるものを尿毒素と呼びます。研究では、腸内細菌叢の関わりとして、尿毒素の産生という腎臓病にとって負の影響がある一方で、短鎖脂肪酸産生やアミノ酸代謝といった有益な作用もあり、その結果、腸内細菌がいない状態では腎臓病がより悪化しやすいということが明らかになりました。このことは腸内細菌叢のバランスをコントロールすることが、慢性腎臓病の進展を予防するために重要であることを示している。

腸内細菌がいないマウスでは腎機能障害が悪化

腸内細菌叢を有さない無菌マウスと有する通常飼育マウスを用いて、それぞれ腎不全モデルマウスを作成し、その血液、尿、便を、生体内の低分子化合物を解析するメタボローム解析で網羅的に調べました。その結果、腸内細菌叢の有無は腎不全時の血中での代謝物質に大きな違いをおよぼすこと、そして腎不全時に体内に蓄積しさまざまな毒性を示す尿毒素のうち、11種の尿毒素が腸内細菌叢の影響を大きく受ける「腸内細菌叢由来の尿毒素」であることを明らかになった。
さらに体内での代謝物質プロファイルを検討した結果、これらの腸内細菌叢由来尿毒素は、(1)100%腸内細菌叢由来の尿毒素、(2)腸内細菌叢と宿主の代謝由来の尿毒素、(3)腸内細菌叢代謝と食事成分由来の尿毒素、の3つに分類されることが判明しました。

これまで腸内細菌叢の関与が知られていたインドキシル硫酸といった尿毒素は、100%腸内細菌叢に由来する物質であることを確かめました。同様に腸内細菌叢によって産生され、動脈硬化や心筋梗塞などの血栓症の原因になるトリメチルアミン-N-オキシド(TMAO)は、腸内細菌叢由来に加えて食事成分由来のTMAOも、腎不全時に体内に蓄積することが明らかになった。
このように、腸内細菌がいない無菌の腎不全マウスでは、腎臓病の進展や心血管障害の悪化に影響する尿毒素類が減少したにもかかわらず、腸内細菌叢を有する通常マウスよりも腎機能障害が悪化しやすいことが判明しました。これは、腸内細菌叢は尿毒素産生という腎臓病にとっての「負の面」のみならず、何らかの腎保護的な「正の役割」も果たしていることを示している。
今回の研究では、腸内細菌叢は腎不全状態でも、腸管内での短鎖脂肪酸の産生やアミノ酸の代謝に大きな影響を及ぼしていることが明らかになっている。これらは、免疫制御や栄養シグナルを介して腎臓を保護する役割を担っていると言えるでしょう。

※http://jasn.asnjournals.org/content/25/4/657.abstract
※http://www.dm-net.co.jp/calendar/2017/026794.php

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