3つの「大麻」の読み方を間違えると食い違いの元になり全然違う解釈になってしまう

※こちらの記事は、武蔵野大学出版「大麻大全」著:武蔵野大学薬学部教授 阿部和穂 を参考文献として薬剤師がより一般向けに噛み砕いて記事化したものとなります

「大麻」をなんと読みますか?

「大麻」と書かれたときに皆さんはなんと読みましたでしょうか?

「おおあさ」「たいま」のいずれかだと思います。

中には他の読み方もしたかもしれません。

少なくとも皆さんは、それぞれがどんな言葉の使い分けをされているかご存知でしょうか?

この言葉の使い分けができていないことが、そもそも大麻を語るうえで争いの元にもなっていると言っても過言ではないと私は思っています。

「大麻」に関係した言葉の読み方とその裏に隠れている解釈を3つの「大麻」から探っていきましょう。

大麻を知るうえで欠かせない3つの「大麻」

「大麻」という言葉を辞書で引くと一般的には3つの意味が載っています。

  • 神事にお祓いをする道具としての「大麻」
  • 植物としての「大麻」
  • 薬物としての「大麻」

それぞれ、人のよって思い浮かべた意味が違うと思います。

私のような薬剤師であれば、薬物としての「大麻」が一番最初に思い浮かぶでしょう。

それでは、それぞれの「大麻」の読み方と意味の解釈とそれに付随する言葉を解説していきます。

神事の「大麻」

神事の「大麻」は、今でも伊勢神宮や三十三間堂のような伝統を重んじるような神社で販売をされております。

もうすでにこの文章だけで、勘違いする方も多いはずです。

「え!大麻が神社に売られてるの?」

神社に売られている「大麻」は御札を意味しています。

薬物の「大麻」(マリファナ)ではありません。

また神主さんたちがお祓いのために白い紙がぶら下がった棒を私たちの頭の上から左右に揺らしてお祓いしてくださります。

こちらの払いをする道具を昔は大幣(おおぬさ)と呼んでおり、これを主に麻の繊維で作って使われていたことから、「おおぬさ」=「大麻」と漢字を当てて読むようになりました。

まだ一部の神社では神道の目的で大麻草栽培がされているため、こうして大麻草の繊維を使った大幣が残っております。

それがいつしか「大麻」を「おおぬさ」ではなく「たいま」と呼ぶのが一般化しました。

神社界では、幣や御札のことを指す「大麻」の使用が違法薬物(マリファナ)とつながってしまって、「神宮大麻」という以下のような御札を配りにくくなっているそうです。

植物の「大麻」

麻は昔から繊維を作るのに使われていた植物であることもあって、繊維に使う植物に「麻」を入れて名づける傾向がありました。

麻だけだと、植物、繊維のどっちを指しているのかが分からなくなってしまいましたので、植物の麻は、大きく成長すると言う特徴から「大麻(おおあさ・たいま)」と区別することにしました

しかし、今度は「大麻」にしてしまうと「御札」「薬物」と区別がつかなくなってしまい、植物を言うときには「大麻草(たいまそう)」という呼び方が考案されました。

元祖植物の麻を指す場合には「大麻草」と統一するのが本来の言葉の使い方となりました。

薬物の「大麻」

神農本草経という中国最古の本草学書で、上品として「麻賁(まふん)」(大麻草の花)と「麻子(まし)」(大麻草の実)が収載されておりました

医薬品の品質と適正に保証するために、1886年に薬剤の標準的な調合法や処方などを記した解説書「日本薬局方」の初版では、「印度大麻草」および「印度大麻エキス」が収載されておりました。

ここに記されていた「大麻草」が植物全体を指しているのではなく、インドの北部で採取される品種の大麻の雌株の花の穂部分をさしており、そこから生じる樹脂に特有の香りと酔ったようになると解説されており、これは今でいう「マリファナ」の原材料に相当しました。

「印度大麻エキス」は加工して薬効成分を濃縮したものです。

「日本薬局方」ができたことで、薬として効く植物を「大麻」(たいま)と呼ぶことに国が決めました。

初版の日本薬局方は、オランダの薬学者が書いた草案をそのまま日本語訳しただけなので、日本では古来から繊維などの産業用として栽培していた大麻草は、日本薬局方に解説されているような「麻酔性」を示す成分が少ない品種で、医薬品にできるようなものではなかったと言われています。

海外で扱われていた「印度大麻(草)」という医薬品が翻訳過程でそのまま収載されてしまっただけで、日本ではあまり普及しなかったとされております。

結局1951年の第六版日本薬局方において削除され、それ以降の収載はありません。

ここまでのまとめ

言葉について

「麻(あさ)」繊維のこと

「大麻草(たいまそう)」:植物のことであり、薬にならない大麻草

「大麻(たいま)」:薬効を持つ大麻草(マリファナ)、神道の御札

「大麻(おおぬさ)」:お祓いのときの神主さんたちの道具

ここまでで、大麻草についての考察

大麻草にはいくつか種類があるとされております。

※別の記事で詳細解説します

植物学的な分類で今のところ分かることとして

日本古来の繊維として使われてきた大麻草は「カンナビス・サティバ・エル」という品種

オランダの薬効を持つ「印度大麻草」は今でいう「カンナビス・インディカ・ラム」という品種

ということが推察できます。

次の記事では、大麻草という植物についてもう少し詳細に見ていきましょう。

【記事リスト】
大麻草という2面性を持つ植物について薬剤師と一緒に考えてみませんか?

参考文献

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